春の雪

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後ろで真木が何か叫んだ気がしたけれど、振り返る事なく走り出した。 何度も、何度も滑りそうになりながら。 向かって来る雪に、必死で抵抗しながら。 ひたすら前へと進んだ。 寒さに身体が震えた。 それよりも、焦りに震えた。 息苦しかった。 けれど、誌乃はきっと、もっと苦しんでいる。 子供も頑張っている。 そう思うと、止まる訳にはいかなかった。 誌乃が、子供が、…待っている。 一刻も早く行かなくては。 他には、何も考えられなかった。 逢いたい。 ただ、…その一心で。
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