春の雪

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「……感謝してるのは…、僕の方ですよ 」 啓輔は、そう言って小さく笑う。 こんな風に…、田島家の墓参りをしようなんて事は、啓輔には考えられない事だった。 過去は、全て捨て去ろうと決めたから。 「 俺だってそうだったよ。形だけの葬式や法事は、全て人任せで。 だけど…、結希が産まれたあの日に改めて思ったんだ。 結希も、俺も…、親父が居なかったら存在しなかった。そして…、 ……お前もな 」 その事だけは感謝しよう。 捨て去るのは…、辛かった出来事だけでいい。
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