春の雪

30/41
前へ
/714ページ
次へ
「……そろそろ行くか 」 墓地に隣接された小さな公園で、遊んでいた結希達に声を掛けると、結希がパタパタと駆け寄って来て慎一の足に絡み付く。 だっこぉ、と甘える結希に、しょうがないな、と言いつつも、いかにも緩みきった顔で抱き上げる。 クリッとした目で、にへ、と笑い、自分にしがみつく結希も、そっと寄り添い、腕を絡めて幸せそうに笑う誌乃も。 どんな事があっても、守っていこうと改めて思う。 ……それが、…俺の幸せだ。 公園を出ると、横付けされた黒い高級ワゴン車から運転手が降りて来て、すかさずドアを開けた。 「 あ、こ―のしゃんだ!」
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10079人が本棚に入れています
本棚に追加