春の雪

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最初は優しく…、撫でるように。 散々指で弄んだ後、戸惑っているのか、或いは焦らしているかのような間を置かれた後で…、 あたたかく、しっとりとした感触に包み込まれていく。 ……おかしくなりそうだった。 呼吸が乱れ、無意識に誌乃の髪を指先で乱す。 朦朧とした意識の中で、うっすらと目を開けると、視界に入った誌乃は…、 恍惚とした表情で。 さながら…、ソフトクリームでも舐めているかのような。 あどけなさと妖艶さが同居する、その何とも言えない光景を目にした瞬間……、 弾けてしまった。 ガチャ!という、ドアが開く音と共に。
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