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未だビックリしたように目を丸くしている誌乃に、穏やかな笑みを向けた後、昇悟は視線をまた結希に戻した。
「……高2の時、すぐそこの公園に居た俺達に、トイレに行きたいから君を抱っこしてて欲しい、って…。
いきなりで、ビックリしたよ。
人見知りしないから大丈夫、って言われて、恐る恐る抱っこした君は、本当に大人しくて。
こんな風に俺に寄り掛かり、俺を見て笑う可愛い子が、まさか…、娘だなんて思いもせずに、しっかりと抱いていたんだ 」
昇悟は改めて結希を抱き締め直し、ゆっくりと目を閉じた。
「 須藤のお母さんは…、どんな気持ちで、俺に君を抱かせてくれたんだろう…」
都ちゃんが命がけで産んだ君の娘を…、一度でもいいから抱き締めてあげて。
きっと…、そう言いたかったのだろう。
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