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え、ちょっと待って、などと後ろで誌乃の声が聞こえたが、構う事なく階段を上がる。
悪いな、誌乃。
いつもなら、ただいまのキスは欠かさないのだが、今はそれどころじゃない。
君へのキスは、深夜まで待ってくれ。
無論、それ以上の事もタップリとするから。
心配そうに後を付いて来る誌乃に、心の中でそう詫びながら…、階段を昇り切ったところで一度止まり、結希の部屋の方向を見る。
「 ね、そっとしといてあげましょ?」
俺の腕を掴み、そんな事を言う誌乃に、何?という顔を向けた。
「 そっとしとくとは何だ!
ふたりきりの部屋で、そっとしといたらどんな事になるか、わからないのか、君は!」
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