( 付録 ) 慎一の憂鬱

23/31

10065人が本棚に入れています
本棚に追加
/714ページ
え、ちょっと待って、などと後ろで誌乃の声が聞こえたが、構う事なく階段を上がる。 悪いな、誌乃。 いつもなら、ただいまのキスは欠かさないのだが、今はそれどころじゃない。 君へのキスは、深夜まで待ってくれ。 無論、それ以上の事もタップリとするから。 心配そうに後を付いて来る誌乃に、心の中でそう詫びながら…、階段を昇り切ったところで一度止まり、結希の部屋の方向を見る。 「 ね、そっとしといてあげましょ?」 俺の腕を掴み、そんな事を言う誌乃に、何?という顔を向けた。 「 そっとしとくとは何だ! ふたりきりの部屋で、そっとしといたらどんな事になるか、わからないのか、君は!」
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10065人が本棚に入れています
本棚に追加