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「……ズルくなんかありません。
有給休暇という正当な権利ですし、その当時、僕は単なる一般社員でしたから。
そもそも立場が違うのですから、今頃そんな事を引き合いに出して絡まないで下さいよ…」
今忙しいんだから、と、聞き分けのない子供をたしなめるようにそう言った啓輔は、またパソコンをカタカタと打ち始める。
「……もうひとつの理由は何だ 」
ムッとしたままそう聞くと、啓輔はゆっくりと顔を上げた。
「……船旅は心配だからです。
僕は先日、たまたま○イタニックを観てしまいました 」
「……」
大真面目な顔でそんな事を言う啓輔に、慎一はそれ以上、何も言えなくなってしまった。
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