その②

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最近の姫のマイブーム…、それは内緒話。 ふと見ると、誌乃の耳元でコショコショと話しては、くふふ、とふたりで笑い合う。 可愛いったら、ありゃしない。 そんなふたりを見るのは幸せの極みだが、仲間外れにされているようで、俺的にはちょっと寂しかったりする。 誌乃曰く、ただコショコショと話すのが楽しいだけみたい、って事らしいが、それでも俺は羨ましくて堪らない。 そんなある日の休日。 春の陽気が射し込むリビングでくつろいでいると、またふたりでコショコショと内緒話を始めた。 テレビを観るフリをしながら、横目でふたりをチラ見し、小さく溜め息をつく俺。 やっぱり女は、女同士なのか。 そんな事を思っていると、姫が突然パタパタと駆け寄って来てソファによじ登り、俺の耳元に顔を近付け、小さい手を口元に添えた。 「 あのね、ママがね、こーしーのむか、きいてきて、って 」 ……く、くすぐったい…! 耳元でコショコショと小声で囁く姫に、俺はもうフニャフニャになりそうだ。 ふと誌乃の方を見れば、ふふ、と可笑しそうに笑っている。 俺が羨ましがっているのを、どうやら察知していたようだ。 俺はニヤニヤと緩みきった顔で姫を抱き寄せ、耳元に唇を寄せた。 「 飲む、って、ママに言って来てくれ 」 姫は、うん、と小声で頷くと、誌乃の元へと急ぐ。 しゃがんだ誌乃の耳元で、またコショコショとする姫。 ハッキリ言って、何がそんなに楽しいのか分からないが、とにかく可愛いのは確かだ。 すると、また姫がやって来て、 「 ちょっとまっててね、って 」 と耳元で囁く。 ああ…、堪らない。 何だかんだ言って楽しくなって来た俺は、姫の耳元でこう囁いた。 「 ママに、愛してる、って言って来てくれ 」 姫は両手で口を覆い、くふふっと笑った後、わかった、と駆けていく。 姫から聞いた誌乃は、俺を見て照れたように笑った。 また戻って来た姫が、俺に囁く。 「 わたしもよ、だって 」 それからね、と言うと、姫は俺の頬に、ちゅ、と可愛い唇をくっつけた。 「 ママのきもち、だって 」 内緒話遊び…、最高だ。 俺もハマったかも知れない。 そして今夜は、この遊びを誌乃とふたりでタップリとしよう。 甘い言葉を囁き合い、 そして……、 妄想劇場。END……レス。
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