その③

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親バカにも程がある。 自分の事をすっかり棚に上げ、全く納得がいかない俺だったが、この子が楽しみにしてるんだから、と誌乃に言われ、仕方なく腰を降ろす。 ふと見れば、俺の不機嫌な表情を不安そうに見ている姫。 俺は、しまったと思い、表情を緩め、凄く可愛いよ、と褒めた。 姫はホッとしたような顔をした後、照れたように笑う。 そんな姫を、おいで、と引き寄せ膝に乗せた。 「 本当に可愛いよ。宇宙一可愛いシンデレラだ 」 「 パパ、ぜったいみにきてね?」 「 もちろんだ 」 こんな可愛い娘の晴れ姿、見逃してたまるか。 「 よかった。しょーごパパもきてくれるもん、ね― 」 そう言って、可愛く小首を傾げて同意を求める姫に、よかったね、と笑う誌乃。 「……アイツも来るのか…」 アイツの息子の洸輝も一緒の幼稚園だから仕方ないが、何より姫がヤツの事を“ 昇悟パパ ”などと呼ぶ事に腹が立つ。 アイツは断じてパパじゃない。 おじいちゃん、だ。 「 いいじゃない。お父さん、まだ若いんだもん 」 姫を寝かし付けた後、そう言って笑いながらベッドに入った誌乃を、俺はすかさず抱き締める。 「 姫にパパと呼ばれていいのは、俺だけだ 」 ムッとする俺に、んもぉ…、と呆れたように笑う誌乃がキスをする。 「 機嫌、直して?」 今ので、もう既に機嫌は直りつつあるのだが、わざと表情を崩さない俺。 「 俺の機嫌が直る方法、知ってるよな…?」 俺の勝負目線にヤられた誌乃は、すっかり夜の顔で、うん…、と小さく頷きながら、その指先を俺の胸元からゆっくりと、下へと滑らせる。 そして……、 慎一妄想劇場。END
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