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そんな訳で、ひと月が過ぎた頃。
慎一と誌乃は、とある南の島に向かう為、啓輔に送られ空港に来ていた。
初めての海外旅行にずっとワクワクしていた誌乃だったけれど…、
空港の中に入った途端、その表情は少しだけ複雑になった。
「……誌乃?」
慎一が覗き込むと、誌乃はテヘ、と少し決まり悪そうに笑った。
「 ここで貴方を見送った時の事…、ちょっと思い出しちゃった 」
最後にひと目だけでも、って…、隠れて見ていたあの日の事を。
もう二度と逢えないと思った慎一の姿は、結局涙で滲んで良く見えなくて。
辛くて…、悲しくて。
たくさん、たくさん涙を流して。
こんな幸せな日が来るなんて、想像も出来なかった。
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