新婚?旅行

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慎一は何も言わず、誌乃を抱き寄せた。 そしてその髪を優しく撫でると、誌乃はまた、テヘ、と照れ臭そうに笑う。 あの日の事は、慎一も啓輔も忘れてなどいない。 もう二度と…、あんな辛い思いはしたくないし、させたくはない。 啓輔は穏やかに笑いながら、 「 さ、そろそろ時間ですよ 」 と促した。 「 じゃ、行って来る 」 と慎一が誌乃の腰に手を回し、 「 行ってきます 」 と誌乃は手を振った。 気を付けて、と小さく手を上げて応えた後、浮き足立って歩いていくふたりの後ろ姿を見送って…、 啓輔は、クスッと笑った。 「 お楽しみはこれからです。良い旅を 」
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