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いつまでも、戦う体制を崩さない音綱に悲しそうな顔をしてくる。
「………君が今、行かなきゃいけないのはあっちだよ。」
そう言って、音綱から向かって右方向に指差す。
「?」
音綱はつられてその方向を見るが、何かがあるとは思えないような、変わらず静かな通りが続いているだけ。
「…それとね、白龍に渡してほしいものがあるのです。」
フワリと手元に現れた鳥を、音綱のほうに飛ばす。
飛んできた鳥は、音綱にもとに行くと一通の文(ふみ)へと姿を変える。
其れを受け取った時、突然大きな突風が吹く。風がやんだ時、当然のごとくそこに彼の姿はなくなっていた。
文を懐に入れ、音綱はもう一度彼が指差した暗闇を見る。
一瞬、長人の会話を聞かずしてこの場を離れることに躊躇したが、迷いを押し込んで、地を蹴りその方向へと向かった。
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