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「久しぶりですね…。音綱。」
音綱は目を疑う。まさか、こんな形で再会するなど思っていなかった。
目の前にいるのはまさしく、自分達が探していた人物。
変わらない姿でいる彼に、どこか懐かしい感覚に陥る。細められた目から、笑っているのだと理解する。
「彼らが話しているのは、くだらない悪口です。」
音綱は話を聞きながらも、視線をはずさず、後ろに手を回し隠してあったクナイに触れる。
「音綱、君一人では僕に勝てませんよ。」
音綱は触れたクナイを握る。そんなこと、自分でも解っている。
でも、今、目の前に殺さなければならない人がいる。戦闘体制に入るのは当然のこと。
だが、どうしても握ってからクナイを抜くことが出来なかった。
もしも、彼の態度や振る舞いが変わっていたなら迷うことはなかったかもしれない。
しかし、彼は何一つ変わっていないのだ。
優しい微笑みも、やわらかな口調も…自分の知っている彼のまま。
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