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沖田は凛が行ったのを目で見送ると、チラリと隣の青年を見る。
腰には一本の刀が差してある。
脇差しをしていない。脇差しは刀が折れてしまった時、予備としても使える。
お金が無い人や、動きにくいといって脇差しをしない人も中にはいる。
彼はおそらく後者だろう。
目線を青年の顔に移す。
目が見えない状態で刀を振る事が出来れば、彼は相当な剣の使い手だ。
ちょっと手合わせしてみたい…。
そういえば、彼は少女に『主様』と呼ばれていた。ということは、千と呼ばれた少女とは、主従関係ということになる……ってことは、かなり偉い人だったり…。
「どうかされましたか?」
青年の其の言葉で沖田はハッとする。
どうやら、気づかぬ間に彼の事を凝視していたようだ。思わず恥ずかしくなって俯く。
青年には見えないだろうが、きっと今、自分は真っ赤になっているだろう。
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