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「章君っ!気がついたか!!」
「章吾ちゃん私達が解る?」
灯ちゃんと舞ちゃんの後ろから身を乗り出し、問いかけてくる。
この人達は、二人のお父さんとお母さんだ。
僕は小さくコクリと頷く。
「そうか、良かった……本当に良かった」
「章吾ちゃん、もう少ししたら、お父さんがここに来るからね?」
「う……ん、でも僕は……なんで、ここにいる……の?」
震える唇で二人に問いかける。
おじさんが「覚えてないのか?」と聞いてきた。
その言葉に頷くと一息つき、ゆっくりと喋りかけてきてくれた。
「……章君、君は儂の娘を庇って車にひかれたんだ」
おじさんの言葉に灯ちゃんと舞ちゃんがビクッと体を強ばらせる。
――二人を庇って車にひかれ……そうだ!
思いだした。
僕は二人と公園で遊ぶ約束をしてて向かってたんだ。
そしたら、あの3人の男の子の一人が灯ちゃんの体を押して、歩道から道に倒れちゃったのが見えて。
舞ちゃんが灯ちゃんの所に駆け寄ったのは良いけど、車が来てたんだ。
何とか間に合った僕は、二人を突飛ばして代わりに僕が車にひかれちゃったんだった。
――ああ、全部思い出した。
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