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――僕の足が動かない?――
「何を言っ……てるの?……嘘……だよね?」
僕の言葉にお父さんは顔をゆっくりと横に振る。
それでも、嘘だと思い試しに足を動かそうとしてみた。
けど、まるで感覚が無く代わりに体の痛みが僕を襲う。
――本当に、僕の足は動かないんだ――
頭の中が真っ白になっていく。
もう、灯ちゃん達とかけっこしたり公園で遊ぶ事も……何も出来なくなるの?。
嫌だ……そんなの嫌だよ……。
涙が溢れてくる。
体は痛みで動かないから、手で拭う事も出来ずに頬をつたう。
「でもね、先生と話しして調べてもらってね。
外国の病院なら完全には治らないかもしれないけど、歩けるようにはなるだろう、って言ってくれてるんだ」
お父さんは僕の涙をハンカチで拭いながら喋りかけてきた。
「だから、皆とは治るまでの間お別れになってしまうけど、外国の病院に治療しに行こう、章吾?」
その言葉に僕は真っ白になっていた頭の中を、一生懸命現実に引き戻す。
もう一度、歩けるようになるなら……。
灯ちゃん達と一緒に歩けるようになるんだったら。
「う……ん、わか…………た」
僕は今出来る精一杯の笑顔で答えた。
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