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氷輪丸を握った手を冬獅郎が斬魄刀を帯刀する時に使っている布で縛った。
何があっても斬魄刀を手放さないように。
痛みで落とさないように、と。
「かすが、行くぞ」
「いつでも、どうぞ」
振り袖に斬魄刀は似合わないな、とぼやけば頭をグーで殴られた。
一番気にして居ることなのだろうと、苦笑した。
「冬獅郎。それ以上服装について言うなら、黒梅に頼んで枕元に立って貰うわよ」
よっぽど気にしているのだと、笑みがこぼれた。
詳細を聞かず、付いてきてくれる。
ただそれだけで良い。
隊首会が開かれている一番隊の隊舎に、副隊長と副隊長代理がそろって出廷していた。
勿論手には静が寝ずにそろえてくれた資料を手に。
「零番隊副隊長・堕墜、現世より緊急のお知らせがあり、帰還致しました」
「「同じく零番隊四席・鬼灯夜狐、零番隊五席・鬼灯火狐。零番隊三席より資料を預かって参上しました」」
声を合わせる双子と現世に条件付きで追放されている副隊長の登場に、隊長たちは困惑して居た。
もっとも堕墜が戻ってくるのは何となしに予想出来て居た。
素直に通せば、三人とも斬魄刀を帯刀して居た。
それに驚かせる。
「恐らく、私どもが此処に来るころには隊長は腹をくくっていることろだと思います」
「それは、どういう事ですか?」
「棗隊長が死神に成った理由は、檜佐木副隊長たちより報告があったと思いますが……その通りで、日番谷隊長から受けた恩を返すためであり、日番谷隊長がしようとしていることの『邪魔』をするつもりはないのだと、言う事です」
双子が隊長たちの後ろを通り、総隊長に静が寝ずに集め整理した報告書と資料を手渡した。
そこに書かれているのは『草鹿宗次朗』と『氷輪丸』の事だった。
同じ斬魄刀が二本存在できない掟に踊らされた二人のこと。
話した所で、何が変わるかは知らない。
ただ報告の義務があったから、それを果たしたまでの事。
「私の予想にしか過ぎませんが、お聞き願えますか?」
そう言って話し始めたのは、かすがが何故冬獅郎に執着し、自分の隊を省みないのかを語った。
自分が貴族に拾われた理由と、起こした事件。
それから死神に成るまでのこと、死神に成った理由。
話していいのか解らなかったが、それが『棗かすが』と言う人と成りを形成した元なのだ。
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