DiamondDust Rebellion

16/23

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
 かすがは空を見上げ、斬魄刀を上へ投げた。 黒い桜の花弁が舞う。 かすがの手にある斬魄刀は桜煉華に戻った。 「冬獅郎……邪魔しないって言ったけど、撤回するわ」 「かすが?」 「一発殴らないと、気が済まないよ。やっぱり」 「……お前らしいな」 「何とでも」 宗次郎が霊圧を上げれば、王印も呼応するように光も強まった。 二人同時に地を蹴り、その光の中へ飛び込む。 宗次郎は二人の斬撃を弾いた。 反撃の隙を与えないよう繰り出すかすがの体術と剣技の合わせ技。 それに苦を強いられているようにも見える。 「かすが、引け!」 冬獅郎の声に反応し、飛翔する。 さっきまでいたかすがの場所が氷漬けに成っていた。 ヒラリと宗次郎を挟むように舞い降りる。 「流石だね、棗かすが」 「何が良いたいの?姉様を殺ったこと?それとも、斬魄刀二本を使ってる事?」 「……それもそうだけれど、身の丈以上の長さを糸も簡単に扱ってる事もだよ」 笑う宗次郎を睨みつければ、宗次郎は笑った。 かすがに背を向けて入るが、隙など全く見えない。 冬獅郎が初めから宗次郎と決着を付けること、それは解っていた。 護廷十三隊の立場として出来ないから、隊長の座を捨ててまで付けようとした。 一人では何処かに無理を強いるだろうとかすがは思っていた。 それは自分にも経験がある。 自分のしたことに自分の部下である堕墜に苦しみを与え続けて居た。 彼の願いさえ、耳を傾けなかった時期がある。 だから、『何としても自分の手で』と思い行動したことがある。 「冬獅郎……」 「……手ぇ出すな」 「……狂宴黒桜」 冬獅郎と宗次郎の廻りを覆うように黒桜の花弁が舞う。 かすがが出来る最大のフォロー。 それ以上彼らの中に踏み出すことは出来ない。 それは宝珠が見せた今回の事件の発端となった出来事があったから。  そっとかすがの傍に堕墜が片膝をついた。 「かすが様」 「皆に先ほどの命を取り下げて。もう必要ないから」 「それは、しなくても大丈夫かと」 「そうね。……わたしは最後まで、冬獅郎の傍に居るから」 「それでこそ、我が零番隊の隊長です」 嫌味っぽく聞こえるが、一番の褒め言葉でもある。 かすがは堕墜に小さく謝った。 堕墜は驚いた顔をしたが、すぐに笑みを見せた。 「謝ることでもしでかしたのですか、隊長」 「ふふふっ、そうね」 小さく笑った。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加