DiamondDust Rebellion

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 夜行と瑠は、かすがの命を受け霊圧の高く濃い者たちを連れ、双極の丘から下がった。 かすがの予言したとおり、宗次郎は王印を自らの手で解放した。 当初は卍解を習得した冬獅郎に王印の解放をさせようとした。 「堕墜、下がりなさい」 「かすが様?」 「相手は王印の力を手にしてる。隊士たちを下がらせて」 「御意」 氷の龍の姿に成った宗次郎を見上げた。 かすがは小さく首を横に振る。 氷の龍の姿に成った宗次郎へ剣八が飛び込んでいく。 勿論かすがには結果が目に見えて居た。 「桜煉華、行ける?」 『勿論で御座います、かすが様』 「無理してない?」 『かすが様ほどでは御座いません』 「そう。言うように成ったじゃない」 小さく苦笑し、かすがは卍解した。 それは桜煉華の卍解ではなく、黒梅の卍解。 かすがの上空に大鴉が姿を見せた。 「黒梅。恐らくこれ以降の卍解は無いと思って良いわ」 『それでは盛大に暴れさせていただきます、主様』 「狂い咲き、黒梅吹雪」 かすが高らかに声をあげ、斬魄刀を上へ向けた。 大鴉が羽根を広げ、声を張り上げた。 大鴉の言動に合わせ黒い梅の花が咲き、それが一斉に散り、花弁が花吹雪を起こす。 その中を高速で飛び回った。 「卍解、黒桜桜煉華獄王」 囁くように告げたかすがの卍解。 羽衣を纏ったその姿は、天女そのもの。 右手に持った桜煉華を肩に担ぎ、空いている左手を前へ伸ばし霊力を集めるように瞳を閉じる。 かすがの左手に集まる高密度の霊圧に冬獅郎も一護も、氷の龍に成った宗次郎もその様子を見つめている。 集まった霊圧は赤黒く、刀の形を成してく。 刀の形をしたそれを握れば、梅の葉が舞いかすがの手にはもう一つの斬魄刀が握られていた。 「かすがっ!?」 「かすがさん!」 二人の声は届いてないのか、かすがはその斬魄刀をも卍解させた。 桜煉華の卍解時と何一つ変わっていない。 ただ変わっているのは両手に刃渡り六尺の黒い斬魄刀に、薄桃色の羽衣を纏い、後ろには大鴉が控えて居た。 「二つ同時って、結構持って行かれるわね」 『当り前で御座います、かすが様』 『主様、無理はなさらぬ方が宜しいかと』 二つの斬魄刀の声が頭の中で木霊する様に聞こえる。 かすがは小さく笑い、氷の龍へと向かって行った。 その速さは目には追えない。 あの長物を軽々と振るうかすがの残像しか見えなかった。
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