DiamondDust Rebellion

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 距離を取ったと思えば、かすがの手には斬魄刀が一本しかなかった。 作り笑顔のかすがは宙に浮いてはいたが、卍解を維持して居られるほど霊圧が残っていないことが明白だった。 駆けよろうにも、氷の龍……宗次郎が間に居る。 「かすがっ!!」 「心配しないで。こんなのに、負ける訳がないわ。それに……あとは、冬獅郎に丸投げしてやる」 そう言い切ったかすがの周りを舞う黒桜の花弁が、かすがの姿が見えないほど数を増やした。 それは宗次郎が翼を広げ、一番高い屋根の上へと舞い降りた。 主を守るため、斬魄刀自身が防御態勢を取ったのだ。 「堕墜。頼んでいい?」 「勿論です、かすが様」 氷で出来た狼の背に跨り、かすがの隣に居る堕墜。 これは堕墜の斬魄刀の能力の一つ。 「私は冬獅郎を援護するわ。零番隊は全員下がらせ、現れた虚の殲滅に向かいなさい」 「確かに承りました。私も、隊士たちの方へ廻りましょう」 「そう、ね。こんな不甲斐無い隊長より、よっぽど隊長らしいわ」 「そうでしょうか?」 堕墜の返した言葉に首を振り、卍解を解いた。 ゆっくりと地に足を付け、氷の龍が降り立ったその場所へと駆けだした。 堕墜はそれを見届け、正反対の方へと駆けだした。  『十』の文字の入った隊首羽織を、少し遠くから見つめる。 やっぱり、そっちの方が良いとかすがは一人笑みを零した。 「かすがさん」 「棗隊長」 振り返れば、一護とルキアの姿。 ちいさく首を振り前を向けば、乱菊と冬獅郎と目があった。 「やっぱり、私が知ってる冬獅郎は、それがなきゃダメみたい」 「かすが……」 「かすがちゃん………何言ってるのよ、アンタも羽織ってた方が、しっくりくるわよ」 「だって、わたし……」 「目の前で粉々に斬り破ったもんな」 溜息を吐きだし、冬獅郎が暴露した。 乱菊は瞳を丸くし、笑いだした。 『やっぱ、アンタらしいわ』と。 それは勿論、廻りに居た者たちも同じだった。 「かすが様」 声がした方を見る。 かすがは瞳を見開き、驚いた。 他の人は見たことのない死覇装姿に、首を傾げている。 「瑠……何で、アンタが?」 「霧風三席に頼まれて……」 顔を反らし、背負っていた風呂敷ごと渡した。 口元を覆って居るため表情は解らないが、冬獅郎は何と無く瑠と呼ばれた子が照れているのが解った。
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