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不思議な夢を見た。
瀞霊廷に紫色の氷輪丸と水色の氷輪丸の姿を見た。
『十』の隊首羽織がユラユラとはためくのが見えた。
死覇装姿の青年と、隊首羽織を羽織った彼が剣を交えるそれを、見下ろしている自分が居た。
ガバッと身体を起こせば、根汗をびっしょりと掻いていた。
隣で冷たい風が吹く。
そっとその方向を見れば、宝珠と自分を繋ぐ媒介をしている斬魄刀・黒梅の姿があった。
反対側には自分の斬魄刀・桜煉華の姿もある。
『かすが様、魘されておりました』
『大丈夫で御座いますか、主』
「……えぇ、大丈夫よ。…黒梅、宝珠が夢を見せたの?それとも……」
『解りません。ですが、確かに宝珠の力が働いたことくらいしか』
寝汗の所為で、気分が悪い。
そっと寝床を出て襖を開ければ、双子の仔狐が丸まって眠っているのが解る。
小さく微笑んで、近くに居る伝令係り七班の一人を呼んだ。
班長の夜行は十番隊に付いていくよう命を出している。
「この双子を私の寝床で寝かせてあげて。わたしは湯浴みして起きるから」
「御意」
「あと。交代の時間が近付いてるから、差し入れ忘れないでね」
廊下を風呂場の方へと歩いていく。
空を見上げ、夜が明け切らない空を睨んだ。
後ろから具象化した斬魄刀たちの気配を感じ、小さく微笑む。
「黒梅、桜煉華。何処まで付いてくるつもりなのだ?」
『何処…って、何処までも。ですか』
「クククッ。私が言いたいのは、共に湯浴みするの?と言って居るの」
その言葉に後ろの霊圧が震えてるのが解った。
かすがは小さく笑った。
何と無く、何時もより冷たい空気に心が騒ぐ。
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