DiamondDust Rebellion

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 登り切ったそこは、メノスグランデが居た。 その光景にルキアも一護も驚きを隠せない。 超高速再生してしまう虚はかなり厄介だ。 「全く、よね」 「そうで御座います」 溜息を吐きだす二人。 かすがは斬魄刀を構え、霊圧を上昇させる。 瑠は両手を前へ突き出し、鬼道の詠唱を始めた。 「喰い散らせ、黒桜獄王・双竜」 「千手天汰炮(センジュコウテンタイホウ)」 黒桜の竜と共に光の矢が飛びまわる。 それでも虚の再生は行われ、数は一向に減らない。 こんなことなら、夜行を連れてくれば良かったと思ったのは内緒だ。 あれはあれで、遠距離広範囲の技を持っている。 「隊長。黒崎殿と共に、此処をお駆け抜け下さい」 「瑠?」 「私には、隊長もあの塔での事を、見届ける義務があると考えます」 鎖鎌を振り回しながら、軌道を放つ瑠を見つめる。 かすがは小さく笑った。 それに気付いた瑠が振り返り、首を傾げた。 瑠の言ったことが理解できたのか、それとも瑠の言ったことに感謝して居るのか。 どちらにしても、かすがは斬魄刀を前に付きだし、霊圧を一気に上げた。 「瑠」 「はい」 「……感謝するわ。…卍解・黒桜桜煉華獄王」 地を軽く蹴りあげ、宙を飛翔するかすがに瑠は微笑んだ。 自分が出来るのは、隊長であるかすがをあの氷の塔に辿り着けるだけの時間を稼ぐこと。 「……隊長に感化されたのでしょうか。……百匹猿山地獄」 高速で移動することによる残像で、自分の分身を作り出す。 斬道にも影を付けることで、どれが本物か解らなくさせる瑠と彼女の斬魄刀のなせる技。 …といっても、見た目はただの数がやたらに多いだけの分身術だが。 ふと、見つめた上空には巨大な黒い玉の塊がある。 それを見た瑠は、小さくため息を吐きだした。 時間稼ぎをしようとした自分より、更に性質の悪いそれを目の辺りにしようとするのだから。 「隊長も、馬鹿ですね」 小さく呟いた。
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