DiamondDust Rebellion

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 卍解姿のかすがの周りを舞う黒桜。 それはかすがを中心に繭を作っていたのだが、次第にそれは二つの輪が交差する形へと変わって行く。 それはかすがの霊圧が上昇するのと同じように形を変えて行く。 「咲き乱れろ、黒桜狂乱舞」 一斉に黒桜の花弁がメノスグランデ達を襲う。 その怯んだ隙を、かすがは一気に塔へ向かって駆けだした。 かすがの通った後に黒桜の花弁が帯を成し、静かに舞い降りる。 瑠はその帯に小さく頭を下げた。  塔に近づけば氷の竜が邪魔をする。 それを斬魄刀で下し、塔の天辺へとたどり着く。 紫色の氷の竜に水色の氷の竜が絡み付き、その喉元へ喰らいついた。 額に小さく金色に輝く部分があった。 恐らくそこが王印なのだろう。 一護がその部分に斬月を突き刺し、天鎖斬月で砕いた。 悲鳴のような声が響き、紫色の氷の竜は砕けた。 息を荒くする宗次郎と対峙する冬獅郎と一護。 一護に背を押されるように、冬獅郎が前へ出た。 斬魄刀を構え、互いに此処で決着を付けるのだ。 かすがはただ上空から見下ろすことしか出来ない。 二人の間に入ることも、自分が代わりに成ることも。 どれも二人の為にはならない。 ただ、この状況を見守ることしか出来ないのが歯痒い。 「私が出来るのは、花向けだけ……」 冬獅郎が宗次郎を刺した。 二度も手に掛けたこと。 それは、まぎれもなく事実。  王印が冬獅郎の手の中へ舞い落ちると共に、かすがは梅の葉と桜の花弁を花向けに。 空へと消えて行くその光を、ただただ見つめるだけ。 「終わったな」 「あぁ…」 「何しょげてるの?冬獅郎の癖に」 「はあ?」 ゆっくり空から舞い降りるかすがに、冬獅郎と一護は瞳を見開いた。 かすがの姿がまるで天女のように見えたのが理由だ。 「ありがとう、黒崎さん」 「かすがさん?」 「冬獅郎の事、理解してくれて。私だけだったらきっと、冬獅郎の背中、押せなかったと思う」 冬獅郎が顔を反らせ、頬を赤くした。 一護はただかすがの方を見つめた。 かすがは小さく笑い、手を振った。 地を蹴って、かすがを待つ隊士らの元へと向かった。
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