DiamondDust Rebellion

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 かすががスッと降り立った場所は、零番隊隊舎。 零番隊の隊士がそこで、被害状況を確認しながら修理に取り掛かっていた。 「隊長?」 一番最初に気付いたのは、双子の狐二人。 その声に隊士らがかすがの周りに集まり出す。 その表情はどれも安堵と喜嬉した表情。 隊士全員がかすがの期間を大歓迎していた。 「ごめんね、皆。心配、掛けて…」 「そんなっ!隊長こそ、ご無事で何よりです!!」 「隊長は隊長らしい行動でした!ですから、頭を上げてくださいっ!!」 隊首羽織を切り刻んだことも、『反逆者』となったことも。 全て耳にしている。 それなのに、誰一人としてかすがを責める人は居なかった。 真新しい隊首羽織裏をみて、微笑む三班と六班にかすがは首を傾げる。 「かすが様。報告書、どうしますか」 「静がもう作成しちゃったんでしょ?」 「ほら見なさい、堕墜副隊長。かすが様にはお見通しではないですか」 「おっかしいなぁ…俺の予想では、『書くのが面倒だ』って言いだすはずなんだが…」 振り返ってみれば、両手に書類を抱えた静と 片脇に夜行を抱えた堕墜が居た。 苦笑した静は斬魄刀・喬美線を広げた。 「生きる息吹と共に、咲かせよ……風香」 ふわりと甘い香りと共に、受けた傷が癒えていく。 小さく息を吐き、空を見上げた。 「隊長、行って来たらどうですか?」 「静?」 「日番谷隊長のところ、ですよ」 「……ばれてた?」 「当たり前です」 やんわりと笑う静に背を押され、かすがは駆けだして行った。 背中から隊士らの笑う声が聞こえて来た。 それはかすがらしいそれを久しぶりに見たからだと、遠くから聞こえてくる明るい声がそうさせる。 乱菊と冬獅郎の二人を見つけた。 手には花と折れた斬魄刀。 それを見た時、近付けなかった。 苦笑するかすがに気付いた乱菊が、かすがを呼ぶ。 ふと見上げた視線の先に見えた、冬獅郎の表情に瞳を見開いた。 「かすが?」 「ごめん。冬獅郎、乱菊副隊長」 首を振る冬獅郎が近付いてくる。 少し身体が強張って、動けなくなる。 「お前も来い、かすが」 「でも、冬獅郎……」 「良いんだ。アイツに、お前を紹介してやりたいんだ」 小さく笑い、差し出された手に自分の手を重ねた。 『ありがとう』と『ごめんね』と言う言葉を乗せて、歩き出した。
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