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王印の話を聞いたのは流魂街外れで巨大虚と上級虚の退治を終わって、隊舎に戻ってからだった。
持っていた報告書が床に散った。
隊首会が開かれているのだが、かすがが戻って来たのは隊首会が始まってからだった。
地獄蝶が来てたのだが、全くそれを気にしては居なかった。
…と言うか、伝令係の七班しか信用して居ないのだ。
「静。今から隊首会に出ても大丈夫かしら?」
「恐らく、大丈夫だと思いますが…」
「そう。それじゃ、一番隊舎行ってくるわ」
さっき下ろした斬魄刀を持ち、脱ぎ捨てた隊首羽織を肩に掛け、瞬歩で向かった。
流魂街での戦闘報告を作成するために、静は戦闘に行った隊士たちを集めた。
隊首会の開かれてる部屋の前に立ち、小さくため息を吐きだした。
中から感じる気配に、少し寂しい感じがした。小さく息を吐きだし、隊首会の部屋の扉を蹴り開けた。
一斉に扉を蹴り開けたかすがの方に向く。
「かすが…」
「流魂街の虚退治から戻って来たら、隊首会開かれてるって言われてね。遅くなったけれど」
肩に掛けて居たはずの隊首羽織は斬魄刀を持っていない方に手にしていた。
不敵に笑うかすがはいつもと違う十番隊の隊長が立つ場所に立った。
「あれ?乱菊さん、大丈夫?」
「かす、が…隊長」
「大丈夫、私に任せて」
そっと乱菊に近づき、その肩に触れた。
乱菊だけに聞こえるように告げた。
乱菊から離れるかすがが僅かに同様して居るのが解る。
この事を虚退治から帰った時に知ったのだろう。
今のかすががあるのは、冬獅郎の存在があるからだと後から思い出す。
乱菊以上に困惑している。
「総隊長。現世に居る堕墜に連絡を取りたいのですが、許可して頂けますか?」
「彼に捜索させるのか?」
「少なくとも私たちより現世に居る時間も期間も長いです。何れは、死神代行たちもこの事を知るでしょう。ならば、一番現世に詳しい彼に協力を仰ぐのが一番かと」
乱菊からかすがの表情を伺えなかった。
動揺して居たかすがの霊圧は安定し、冷たく突き刺さるような霊圧に変わっている。
零番隊の初陣の際に感じたかすがの霊圧を久しぶりに肌で感じた。
「現世での捜索、棗隊長に任せよう。逐一報告を怠るな」
「御意。……あと、零番隊は巨大虚の退治を優先にする事、お許しください」
「解って居る」
「では、失礼します」
またそっと乱菊の肩に触れ、部屋を出た。
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