DiamondDust Rebellion

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 かすがは現世へ行く前に、一番隊の隊舎へと向かっていた。 現世へ行くだけだが、手には非番の時に来ている振り袖を手にしていた。 小さく息を吐きだし、『一』と書かれた、扉を叩く。 中から声が聞こえ、静かに扉を開く。 筆を走らせる総隊長が居た。 かすがが中へ進み、ある距離まで止まると筆を止め、かすがの方を見た。 「現世へ向かうか」 「はい」 「何か、言いたいことでもあるんじゃないのか?」 「………総隊長に正直に申しておきたい事があります。もしかしなくとも、総隊長を不愉快にさせてしまうかもしれません」 総隊長の顔を見ることは出来なかった。 自分が今から言う事が、どれだけ忠義に反して居るかよく解っているから。 不純な理由だけれど、それが此処に居る自分なのだから仕方がない。 「私が死神に成った理由は、日番谷隊長に恩を返すためです。それは、今この時も一つも変わりありません。だから、私は………裏切りと呼ばれても構わない」 何も言わない総隊長に、かすがはそっと外を見つめた。 夕闇が辺りを照らしていた。 「総隊長。行ってきます」 それだけを言うのに少し、勇気がいった。 手摺に身を乗せ、手摺を蹴った。 フワッと身体を包む霊圧は桜煉華のもの。 小さく『ごめんなさい』とだけ呟いて。  夜行と堕墜は外で良いと、玄関先で一護に話をしていた。 日番谷冬獅郎が王印を追ってそのまま行方不明になった事は、王印が襲われた場所を調査して居た砕蜂から聞いていた。 しかし、かすがが単独で動く、と告げた時、驚きを隠せなかった。 「もし、日番谷隊長に会ったら、隊長を止めるようお伝えできませんか?」 「かすがさん、を?」 「えぇ。恐らく、日番谷隊長にはわけがあって行方を晦ましたのだと、隊長は仰っていました。それに……いえ。日番谷隊長ならば、隊長が単独で動くと言えば、すぐに察して下さるかと」 深い事を言うつもりはない。 もともと人を嫌って居るかすがは、自分の事を知られたくはない。 己自身が背負う傷さえも、他人に触れさせはしない。 「解った。冬獅郎に会えるかどうかは解らねぇけど、話してやるよ」 「ありがとーございます、黒崎さん!」 「それにしても、王印って何だ?聞いたんだけど……答えて貰えなくって」 一護の問いに、堕墜は深い溜息を吐きだした。
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