DiamondDust Rebellion

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 かすがは『浦原商店』へとまっすぐ向かった。 そこれ死覇装ではなく、黒地の振り袖へと着替えた。 何も言ってこない喜助たちに感謝し、六花・黒桜・銀杏の銀細工の髪飾りを手に取り見つめる。 それを左の髪に付け、斬魄刀を背負う。 隊首羽織は肩に掛けた。 「喜助兄さん」 「アタシには貴方を止める権利はありませんよ」 「……うん。ありがとう、何も聞かないでくれて」 「そりゃー…聞いちゃ不味い、でしょ?」 小さく笑い、そのまま脇を通り抜けた。 義骸に入りそのまま、浦原商店を後にした。 向かった先は黒崎一護の所。 最初に見付けるとすれば、彼くらいだろうと。 そして、冬獅郎を匿ったりしてくれるだろうと。 本当はすぐにでも霊圧を消した場所から探し始めたかった。 けれど、そこに行けば冬獅郎は遠くて行ってしまう気がした。 「黒崎さん」 「…かすがさん」 たまたま見つけた彼に声を掛けた。 彼の表情から、もう彼は何処かへ行ったのだろう。 少し苦笑した。 「やっぱり、逃げるのはやい」 「え?」 「冬獅郎、居たでしょう?」 「………かすがさん、何をしたいんですか?」 「冬獅郎に助けて貰った恩を返すの。護廷十三廷が冬獅郎を敵とするなら、わたしは冬獅郎の傍に居る」 「かすがさん……冬獅郎は朝早く、出ていっちぃまった。探してはいるが、見つからねぇ」 かすがは首を横に振った。 無意識のうちに触っていた髪飾り、一護に聞かれて少し頬を赤く染めた。 小さく微笑んで、彼と別れた。 行先はない、行く宛てもない。 ただただ歩いていた。 夕暮れ間近、檜佐木たちがかすがの元へと来た。 「棗隊長、こちらにおいででしたか」 「檜佐木副隊長?……場所が解ったのですか?」 「はい。今宵、人が寝静まったところを見て……と思っています」 「……私も行くわ。それまであまり敷地内に近付かないで。彼も繊細で敏感だから」 「了解しました、棗隊長」 檜佐木たちが散っていくと、すぐ夜行が傍で膝を折った。 舌打ちしたかすがに、何も言わない。 小さく『静に急ぐように』と告げた。 ただ頭だけ下げ、夜行は行った。 夕闇の空を見上げ、小さくため息を吐きだした。 どんな状況でも構わない。 ただ、彼に会う目的が達成させれそうだ。
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