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睦月は俺の荒れた手を心配してくれていたんだ。
「睦月。すごく嬉しい」
ギュッて睦月を抱き締めると睦月も幼い腕でギュッてお返ししてくれる。
寒いのに睦月のお陰で暖かいって思う。
睦月がいるから俺は辛くても頑張れるって
「あ、将兄ちゃん。雪だよ」
睦月の手が離れてふわふわと落ちてくる雪に手を伸ばす。
いつもよりも冷えるって思っていたら…
「きれいだね」
空を見上げると暗い空から生まれているとは思えないような綺麗な白が舞っていて
「うん。綺麗だね」
「初めての雪だよね?」
「うん。この冬初めての雪だよね」
睦月が手のひらに雪を乗せようと舞う雪を追いかける。
見てみて!雪つかまえたよ
睦月の差し出した手のひらには雪だったものが残っていた。
あ~溶けちゃったよ
残念って微笑いながら睦月が
「将兄ちゃんの誕生日に雪が降るって、頑張ってる将兄ちゃんへの誕生日のプレゼントかもね」
偶然なんだけど、睦月が言うとそうなのかな、なんて思ってしまうんだ。
「っくしゅっ」
睦月のくしゃみに我に返る。
「睦月。でっかい風呂入って暖まろうな」
うんって頷く睦月と手を握って銭湯へと急いだ。
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