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あれからから彼女を迎えに行き、予約していたホテルへと向かう。
お決まりのクリスマスプレゼントを渡して彼女の喜ぶ表情に満足する。
その後はホテルのスィートで楽しむはずだったのに…
本命ともいえる彼女といるのに…
挑発するようなドレスに誘う仕草。
魅惑的な体を前にして全然その気にならないんだ。
いつもなら二人絡むようにベッドに沈むのに
さっきから雪が舞い落ちる暗い窓の外ばかり眺めている。
たかが雪なのに…
『将兄ちゃんの誕生日に雪が降るって、頑張ってる将兄ちゃんへの誕生日のプレゼントかもね』
あの時の弟の言葉が耳から離れないんだ。
今日は綺麗な涙を流した彼の誕生日
そう思うとなんだか弟が言てったようにこの雪が彼へのプレゼントのように思えて仕方なかった。
弟の触れたあの涙に触れてみたかったと思う。
今舞っている雪が彼の涙のように思えてしまうのは、彼の表情があまりにも無垢に見えてしまったからなのか…
窓の雪を眺めながら
「…綺麗……だな……」
呟くと彼女が準と耳元で囁いて
「なんか心ここにあらずって…感じ?」
そんなに雪が珍しいの?
ホワイトクリスマスでロマンチックだけど…
彼女が両腕を首に絡めてきて
紅く艶やかな唇が近づいてくる。
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