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今日で仕事納めだと思うと気合いも入ってしまう。
仕事が終わったら睦月と銭湯に行って今日はゆっくりしよう。
「だって明日からお正月の準備しないといけないもんね」
睦月と二人だけのお正月なんだ。
「父ちゃんと母ちゃんがいたらな…」
睦月は親からお年玉貰って、大好きなおせちのくりきんとん食べて…
「今年は俺が作らなきゃね」
お雑煮くらいなら作れそうだけど…
「仕事が終わったら本屋に行くか」
作った部品を箱に入れて担当長にチェックしてもらう。
担当長が俺の作った部品を厳しい目付きで部品を一つずつチェックしていくのを緊張の面持ちで待っていると
「藍原、全部合格だ」
大分上達したな
「本当ですか?」
初めて担当長に誉められてスゴく嬉しかった。
「ありがとうございます」
頭を下げると担当長が頑張ってるから上達が早いんだって頭を撫でてくれた。
叱られる度に泣きたくなるほど辛かった作業だったけど、今初めて続けててよかったって思った。
じわりと浮かぶ涙に担当長が
「これっくらいで泣くな」
なんて俺の背中をバシバシ叩きながら笑顔で
「これで今年の仕事は終わり。後は掃除して上がりだ。お前弟が待ってんだろ?」
早く帰ってやらないとな
「はい」
俺は後片付けの為に機械に付いた油を拭き取り床の金属の欠片を始末していった。
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