13人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、お月さま。どうしてそんなに綺麗なのに、雲に隠れてしまうの?」
ねこは小首を傾げ、再び問いかけます。
「わたしは綺麗なんかじゃないわ。本当は、とっても醜い姿をしているの」
お月さまは、身をよじらせて鏡のような丸い姿を細めます。金色の弓のような弧になったお月さまは、それでも明るい光に包まれています。
ねこは不思議に思いました。
こんなに綺麗なお月さまが、どうして醜いことなどあるでしょう。
「ねえ、お月さま。それじゃあ、本当の姿を見せてよ」
「それは無理よ。遠くからでは、本当の姿を見ることはできないの。それに、あなたがわたしのそばへ来るには遠すぎるわ」
ついに、お月さまはさめざめと泣きだしてしまいました。
ぽつぽつと降ってきた雨に、ねこは慌てて跳びあがります。
最初のコメントを投稿しよう!