お月さまと嘘つきねこ

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「ねえ、お月さま。どうしてそんなに綺麗なのに、雲に隠れてしまうの?」  ねこは小首を傾げ、再び問いかけます。 「わたしは綺麗なんかじゃないわ。本当は、とっても醜い姿をしているの」  お月さまは、身をよじらせて鏡のような丸い姿を細めます。金色の弓のような弧になったお月さまは、それでも明るい光に包まれています。  ねこは不思議に思いました。  こんなに綺麗なお月さまが、どうして醜いことなどあるでしょう。 「ねえ、お月さま。それじゃあ、本当の姿を見せてよ」 「それは無理よ。遠くからでは、本当の姿を見ることはできないの。それに、あなたがわたしのそばへ来るには遠すぎるわ」  ついに、お月さまはさめざめと泣きだしてしまいました。  ぽつぽつと降ってきた雨に、ねこは慌てて跳びあがります。
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