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夜が明けて、朝が来ます。
猫は凍えた身を丸くしてうずくまり、お月さまは蒼白になったままぽつりと空におりました。
また日が暮れて、夜が来ます。
お月さまは、地上のどこかにねこの姿がありはしないかと、まん丸に膨らんで探します。
ねこに謝りたい一心で夜空全体をまばゆく照らしていると、ふいにねこの小さな黒い姿が屋根の上に現われました。
「ああ……ごめんなさい。わたし、ゆうべは酷いことを言ってしまったわ」
お月さまが切なげに謝ると、ねこは首を横に振りました。
「ほんとうにごめんなさい。わたしは嘘つきだけれど、あなたのことまで疑うなんて」
お月さまの言葉に、ねこはまた首を横に振ります。
許してもらえないのかと、お月さまは大層悲しくなりました。
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