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けれど、ねこはまん丸な金色の、お月さまによく似た目でまっすぐに空を仰ぎます。
「ねえ、お月さま。ぼく、嘘つきになることにしたんだ」
ぱちぱちと瞬きをすると、ねこのひとみは細くなったり、丸くなったり、ころころと変わりました。
まるで、お月さまを映したように。
「ねえ、お月さま。だからね、お月さまはぜんぜん綺麗なんかじゃないし、本当の姿だって見せてくれないし、酷いことばっかり言うけどさ」
淡々と言葉を紡ぐねこに、お月さまは息を飲みます。
ねこは、また瞳をまん丸にして、じっとお月さまを見上げました。
「ねえ、お月さま。こんなに離れているし、手は届かないけど。嘘か本当かだって、分からないけど。でも、これでぼくたち嘘つき同士だよ。醜くっても嘘つきでも、ひとりぼっちは寂しいよ」
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