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登校中は今までと違った異様な雰囲気だった。
いつもは隣を通りかかったら会釈だけして終わりだったようなおばちゃんがかなり物珍しい目で見つめてきたり、
普通の進学校に入学し、新しい人生をスタートするというのに、俺たちを見たことによって激しく沈む者、妬みの目で睨み付けてくる者など。
それに極めつけは、そこらじゅうの人達から「頑張って」と札束を渡されたりした。
待て待て、俺たちは仏じゃない。
お賽銭に意味はないぞ。
断るだけで一苦労…
正直、学校につく前にかなり疲れてしまった…
「…なぁ、妹よ。名門校に入学すれば毎日こんな感じの日々が続くのか…?」
「…さぁ、わからないけど、それだけは遠慮してほしいよね…」
もし毎日これが続くなら俺は今すぐにでも転校したい。…まぁ金がないからそんなことは出来ないが。
「あ、学園が見えてきたよ!あにぃ!」
急にテンションが上がった梓の声に反応して顔をあげると学園の校舎がすぐそこまで見えてきていた。
「とりあえず、さっさと校門くぐっちまおうぜ…このままじゃ身が持たない。」
疲れていた俺は梓と正反対の暗いテンションで言葉を返す。
すると梓は先程まで疲れていたのが本当なのかと疑うぐらいに「うん!早く行こう!今すぐ行こう!」と返してきた。変わり身早いなぁ、おい…
そして超ハイテンションの梓に導かれるように俺は少し先に見える水無月学園の校門に向かって走った。
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