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彼女は朝から高熱に魘され、意識が朦朧としていた
乱れた長い髪を何とか束ねると、震えたままキッチンへと向かい、大好きなミルクティーを入れる
覚束無い手つきで、ティーカップを揺らしながら、何とか口に注いでいった
ミルクティーを飲み干し、ベッドへと戻ると束ねた髪をほどき、ゆっくりと床につく
そのまま夜になり、寒さで震える…心細い…そんな風に彼女はいつも夜に拐われそうになる
慌てて薬を取りだし飲み込むと、少しだけ落ち着いていく…
“ピンポーン”
待ちわびたあの人が訪ねてきた
優しい、柔らかい眼差しに、少しだけ疲れた顔
彼女は照れながら彼を招き入れた
寒かった心が暖まっていく…
彼は彼女が寝ているベッドでいきなり服を脱ぎ出した
そして、高熱で震える彼女のパジャマのボタンを上から一つ一つ丁寧に外した
彼女はぼんやりとした頭で不思議そうな眼差しを彼に送る
その眼差しに気付いた彼は、優しくそっと触れるようなキスを彼女に送る
彼は彼女の下着さえも剥ぎ取り、彼女は寒さに震える
自身の服を脱ぎ終えた彼は、ピッタリと重なりあうように彼女の上に乗ると、そのまま抱き付き、彼女が上になるように抱え上げた
心臓と心臓の音が重なる…
それは心地よくて、とても暖かだった
寒さも、不安も、そこにはすべてない
在るのは二人の体温と鼓動…
“古来の人は、こうやって熱を下げたんだって”
彼はそっと彼女に呟くと、彼女も彼に呟いた
“私の大好きなミルクティーみたい…”と
このまま二人は溶けて全て無くなってしまえばいい
このまま二人…
このまま…二人…
二度と…離れることのないように…
ミルクティーのように、溶け合って…混ざって…離れられないように…
彼女は願いを込めて、既に眠っている彼の首筋に、そっと手を当てた…
─ milk tea ─
end
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