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キスは嫌いじゃない
肌を重ねることも、嫌いじゃない
だけど、“サヨナラ”と言う言葉は嫌い
それは貴方が、私を置いていく合図だから。
それは貴方が、真実の愛しき人の元へ帰る合図だから。
カーテンの隙間から、淡い光が微かに射し込む
── 今日は満月……
もうすぐ愛しいあの人が訪れる
そして優しいキスで私を包み込んでくれるの
貴方の腕に抱かれ、愛を確かめ合うけれど……
私の心は埋まらない
私の心は満たされない
満月が近づくにつれ膨れゆく気持ち……
だけどその時が欠けて行くと同時に、私の心も欠けて行く……
── 一体何度思ったことだろう……
もうこんな恋は終わりにしよう
そう何度も誓ったはずなのに……
今も私は変わらない、変えられないまま……貴方に恋い焦がれている……
── 今日は満月。もうすぐあの人がやって来る
この満ち溢れた心も、数時間後には欠けて行く
だけど私は変われない
きっと……変わることなどできない
満ちゆく心も、欠けゆく心も……反する満ち欠けは貴方で埋まっているのだから……
だからいつも期待してしまう……
─ full moon 満月─
だからお願い……
どうか“サヨナラ”と告げないで……
いつか訪れるのだろうか……
貴方がずっと“サヨナラ”を言わなくても良い日が……
end
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