初見

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咲夜は目尻に溜まった涙を拭ってこちらを向いた。 「でも、いくらあなたが受け入れてるって、賛成だって思っているとしても、表に出せなきゃ意味ないよ。お母さんはさっきのことで、また不安になったと思う‥‥‥やっとまた笑ってくれるようになったんだから‥‥‥‥せめて『お母さん』って呼ぶくらいしてあげてよ」 「‥‥うん。頑張ってみるけど、ちょっと今日はきついかも。 今度会う時までには、俺も気持ちの整理しとくから」 「それじゃだめなんだってばっ そんなへらへらしながらこのこととか、お母さん達の再婚のことを考えないでっ。」 咲夜は声を荒げてそう言った。 「別に軽く考えてなんかいやしねぇよ ただ、今はまだ気持ちの整理がつかないだけなんだって。むしろ父さんや初対面の俺を、お兄ちゃんとかすぐに言える咲夜がすげぇだけだって。みんながみんなそんな風にはできねぇよ」 「そんなのお母さんだってそうよっ。あんなにがつがつ人に質問したり出来るほど、お母さんは神経太くないわっ。みんな頑張ってるのに、あなただけたった一言が言えないの」 「俺にだっていろいろあるんだって。彩香さんには悪いけど、まだ‥‥ちょっと」 「あぁ もう‥‥最低」 そう言って彼女は店の中に戻っていった。
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