初見

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そう呼ばれるようになった対象の人は、その子を育て、教育したりと自分の一生の5分の1ほどをその子の為に消費しなくてはならない。 さらにその子との繋がりは一生のもの。 何かあればその子を護り、過ちを犯せば教育したり、最悪その子のせいで、一生を日陰で過ごさなければならなくなることもある。 俺は父さんからそう聞かされてきた。 俺はそれだけのことを彩香さんに背負わせることになる。 そのことも怖い。 でも1番は、アルバムやビデオでしか見たことないけど、世界で唯一の母さん 記憶もないけれど、確実に俺と繋がっている母さん。 その人にすら、人生で人に向かって呼んだことのない『お母さん』を、つい6時間前まで会ったことのない人に向かって呼ぶことが怖かった。 写真の中の、画面の向こう側の母さん、福光由美ではない人を、自分のお母さんと認めることが怖かった。 これは彩香さんを受け入れてないってわけじゃない。 怖いだけだ。 福光由美との繋がりが消えてしまいそうで。 俺の中から消えてしまいそうで。 ‥‥怖いだけだ。 父さんの再婚の話しを聞いてから、ずっと考えていた。 どうなるんだろうって。 いざ言うときが来ると、ただひたすら怖かった。
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