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鯛は美味しかった。
気分は、店先でいろいろ考えて、自分なりの結論を出して、どちらかと言えば晴れていた。
満足と言いたいところだが‥‥
咲夜の態度がますます冷たいっス。
いや本当に辛いっス。
会話がないのは相変わらずなんだが、ちょっと頑張って話し掛けても、一応目を合わせたりはしてくれていたのに、今はただ相槌をうったり、一言で返事をするだけ。
こっちを向きすらしない。
俺の気持ちは言わなきゃ伝わらない。
さっき咲夜に言われたことだけど、『お兄ちゃん実は、恥ずかしいわけじゃなくて、お母さんって呼ぶのが怖いだけなんだ』とか言えねぇよ。
『なんでこんなビビりがお兄ちゃんなんだろ はぁ』とか言われちゃうよ。
いや、俺が気にしすぎなだけ?
どっちにしろ、今の咲夜は聞く耳持たないだろうなぁ。
やっぱり、俺がビシッとこの場で彩香さんを『お母さん』って呼ぶしかないか。
とか食事中父さん達の話しを聞きつつ考えていたら『よし、帰るか。彩香達は家に着いたらすぐ帰るか?』
いつの間にか帰る時間になっていた。
まだ帰り着くまでの時間がある。と思ったけど、1時間くらい時間がありつつも言えなかったやつが言えるはずもなく。
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