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少し余韻に浸った後、父さんは携帯電話を取り出した。
「ちょっと相手の方に電話してくる。 昼ご飯はチャーハン作ってあるから、それでも食っててくれ」
そう言って父さんはベランダの方へ歩いて行った。
父さんの着ているTシャツの背中の辺りの色が変わっている。
緊張、してんだなぁ。
不安、だったんだな。
チャーハンを軽い罪悪感にまみれながら食べ終えた頃。
父さんが不安そうで楽しそうな、良くわからない表情で戻ってきた。
「言い忘れていたが、相手の方にもお前の一つ下の娘さんがいるんだ。あちらはあちらで再婚の話をしたら、お前と同じで喜んでくれたらしい。それでな、来週家に挨拶に来ようと思っているらしけど、いいか?」
「問題ないよ。というか挨拶はしておいた方がいいよね。まさか結婚式で『はじめまして。福光裕也です。』なんて嫌だし……え?娘さん?」
父さんの表情から不安は消え、ドッキリの仕掛け人みたいないやらしい顔をしている。
うわっ、そう言えば失念してたけど好きな人が2人とか言ってたな。
しかも一つしか違わないならその子もう高1じゃん。思春期じゃん。
いきなり同年代の娘と暮らすとかちょっと待ってください謀ったなこの親父。
「お前の妹になる子、かわいくていい子だぞ」
「知るか!俺の反応見て楽しんでるだろ!ものすごい情報後出ししやがって」
「あはははっ」
あれ?
俺が動揺してる間に父さん酒飲み始めてるんだけど。
なんなのこの人。
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