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少年は片親との理由からバカにされ、イジメられていた。
少女は他者との交わりが苦手で、集団の中で浮いていた。
皮肉なことに、孤独な二人が廻り合い、僅かな時間、安らぎを得ていた。
「なぁ、聞いてんの?ミヤ」
「あんたこそ、ちゃんと聞いてた?」
定期テストが近いこともあり、数学の参考書を手にしたミヤは口を尖らせた。
が、その内容は頭には入らず、洪水のように溢れては流れていく。
生意気な少年コウの言いなりになるのはシャクだったが、「年上らしく、遊んでやるか」とこれ見よがしにため息をついた。
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