第一話一章 どうみても不審者です

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「くそっ、変な奴らが来ちまったぁ!」  ライダーと蟹が顔を見合わせる。 「おい、お前変だってよ」 「え? お前だろ?」  互いになすりつけあう改造人間と甲殻類。見苦しい。 「……どっちも変なんじゃないかな」  私が思わずツッコミを入れると二人は沈黙した。しばらくして二人は沈黙を破る。 「「全ては不良のせい、許すまじ!」」  いい顔(お面に隠れて見えないがそんな気がした)だった。しかし責任転嫁も甚だしい。 「さっきくぁらわけわかんぬぇことばっか言いやがってぇ! やんのか!クォラァ!」  不良Aが威勢良く吠える。いや、お前が言うな。 しかし、すぐに不良Aの顔から余裕が消えた。  蟹が一瞬で不良Bに肉薄。 「……寝てろ」 「……え?」  肉を叩く鈍い音が鳴り、不良Bが沈んだ。白眼を剥いて気絶している。何が起きたかすら分からなかった。とてつもなく速い。蟹の癖に。 「そんな……一瞬で」 「逝ってしまったわ……円環の理に導かれて」 円環云々はわからなかったがだいたいの意味はわかった。 ……え? 死んだの? ピクリとも動かない。……うん、見なかったことにしよう。
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