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「どうする? 今なら許してやるが」
ライダーが気だるそうに言った。
不良Aは悔しそうに唸ると走り出した。
「あっちの蟹は人間じゃないみたいだが、お前は見たところ人間だ。せめてお前だけでもぶっ潰してやるよ!」
走る不良A。妖怪と人間では力が違う。種族によっては大の大人ですら人外の子供に敵わないことがある。にも関わらず、だ。
「人間だから勝てるとでも思ったか? 甘えよ!」 易々と攻撃を避け、肘や拳のコンボを浴びせた。格ゲーとかで上手い人の動きでも見ているかのような綺麗な連撃だ。
拳が腹に埋まり、不良Aが地面に倒れたのを確認するとライダーは背を向けた。
だが、不良Aはまだ動けた。
不良Aは背を向けているうちに不意打ちしようと後ろから殴りかかった――瞬間。
刹那で振り向き、同時に振り抜かれた脚が凶器と化す。一瞬、仮面の奥に紅き光が見えたような気がした。
鈍い音がした後、車にでも撥ねられたかのように不良Aは宙を舞った。
ライダーキックという単語が脳裏を過ぎった。今見た技はまさしく必殺にふさわしい。
その蹴りの威力は不良Aが白目を剥いて気絶するのに十分過ぎた。
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