第一話一章 どうみても不審者です

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「よし、一件落着」 「……落……着?」  やりたい放題暴れたあと、仮面の二人組は立ち去ろうした。解決の仕方に疑問は残るが恩人であることには変わるまい。 「待って!」  二人の足が止まる。 「さっきはありがとう。名前だけでも教えてくれないかな?」 「いや、正体をあまり知られたくないからこれつけているんだが」  と顔の両サイドの脚を揺らしながら蟹が言った。そうだとしても、もう少しまともなものはなかったのか。 「でも!」 「知ることに意味はないどうせ……忘れてしまうから」  どういう意味なんだろうか?  いやでも、この違和感は……! 「ねえ……適当なこと言って誤魔化そうとしてないよね?」 「ギクリ」  ギクリって言った! リアルで言う人初めて見たよ! 「とにかく! 俺達はここで失礼させてもらうぜ!」  蟹が強引に纏めに行った。そんなに嫌なのか。 「そう……痛ッ!」  仕方なく諦めようとしたら足に痛みが走った。気がつかなかったが逃げる際、足を捻っていたみたいだ。
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