第一話一章 どうみても不審者です

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「怪我してるみたいだな……ええい! 仕方ない。正体バラしてもいいか?」 「まあ、報復を避けるためのものだし今ならいいか。これつけたまま歩き回るわけにもいかないしな。……これ、そんなに変かなぁ?」  ライダーは変と言われたことを少し気にしてるようだ。一応フォローしておくとお面の種類はともかく白昼堂々お面被っていること自体が変だと思う。顔を隠す以上、変に見えるのは仕方ない。  ライダーがお面、そして黒髪のカツラを取るとふさぁと燃えるような紅い髪が舞った。 ライダーの正体は髪と同じく紅い瞳の少年だった。その風貌からは炎が連想される。年齢的には私と同じ位だ。目立つ紅い髪を隠すためにカツラを被っていたのだろう。  蟹もお面をとる。外見だけなら同い年の人間に見えるが、雰囲気はとても同じ生物だと思えない。束ねた長い髪と人ならざる鋭い瞳孔を持った金色の瞳が印象的だ。 「俺の名前は迦楼羅 空音(かるら くうね)。種族はガルーダだ」 「そして、俺は藤本 焔(ふじもと ほむら)、一応、人間だ」  元蟹は空音。元ライダーは焔と名乗った。ガルーダと一応、人間か……ガルーダは竜を喰らうと言われる半人半鳥。伝説では神にすら匹敵するらしい。  そして一応、人間。妖怪を一方的に倒したその様は確かに人間であることを疑問に思う。
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