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まさかこんなにも大変だとは思わなかった。
陛下、アリシア様のお召し物はこちらで宜しいでしょうか??
陛下、歓迎会の準備は如何なように??
陛下、孤児院から嘆願書が届いております。
陛下、隣国の国交大臣がお見えです、期限付きの友好条約についてお話があると。
陛下、ご指示を。陛下、陛下──
「それは王妃の仕事だろう。アリシアはどうした?」
「力不足だから陛下の指示を仰いで改めてご指導くださると。」
まさか、こんなにも…
そう思わずにはいられない。
国王は政治を、王妃は友好を。
友好は政治には欠かせない。故に国の仕事は王妃と国王に半々割り振られると言って、過言ではない。
その点、元王妃は申し分なかった。
アリシアを妻に迎え、元王妃の仕事分を負担するようになり、こんな事までこなしていたのかと目を剥いた。今まで自分がしていた仕事よりも1時間分多い仕事を、女に知らず負わせていたのかと情けなくなるより前に驚いた。
だがアリシアも覚えは良い方なのか、少しずつ吸収している。だがそれでも、仕事は未だ以前の倍。書類の山と格闘しては決着がつかず、徹夜をしては、気付けば朝日が昇っていることさえある生活を送っている。
今まで元王妃の仕事には基本的に不干渉だった為、勝手の分からない事も多い。アリシアも周囲に四苦八苦しながら尋ねてはいるものの、国の重要機密の勝手を知っている人間など居ない。
元王妃のこなしていた仕事は、此方の意に反して着々と溜まっていた。
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