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そんな時にあろう事か王妃との離縁に、側室の召し上げ。更には元王妃となった女性は王宮で相談役として今尚中枢に食い込んでいる。
話題の中心人物だ、元王妃が突然出奔したとなればいい噂には決してならない。
事実政務も滞る上、捜索に回す人員も必要となる。
中枢部に居るとは言いつつも、その権力は衰えた。つまりは責任と言う呪縛が以前よりも緩やかになったと言う事。もしもこれが王妃であった当時であれば幾人かの命は秘密裏に葬られ、表向きの責任者を仕立て上げた上で良ければ幽閉及び数種の体罰、破格でも親族諸共解雇に加えて多額の賠償金を背負わせる事になっただろう。
「はぁ……」
ここ数年の癖になった溜息が殊更数日多くなっている事を自覚はするが、特に生活の中で弊害がある訳でもなく直す気も無い。
溜息は溢れるままに止まっていた書類整理の手を再開させていると、執務室から見える城門付近に人が集まり始めた。
やっとご帰還か。
ふうと一つ溜息を追加して、手早く書類を纏めて机の上に置く。
ローブの様に長い羽織を邪魔臭く捌き、宰相は王の執務室を出て行った。
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