☆☆☆

2/61
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
 どうしてわたしは息を吸わなければいけないの。吐き出さなければいけないの。 息なんてしたくない。何も食べたくない。何も見たくない。何も聞きたくない。寝たくない。排泄したくない。動きたくない。生きたくない。だからといって、お腹が空くのは嫌だ。何も見えない真っ暗な闇は嫌だ。何も聞こえない無音の世界は嫌だ。寝たいし、出すものは出したいし、本当は動きたい。死にたくない。  そう、死にたくない。だけれど、生きたくもない。何もしたくないけれど、何もしないのは嫌なのだ。こんなことを考えていること自体、嫌気がさして仕方ない。  わたしは常に分裂した自我の中で生きている。両極端な二つの思考に、欲求に挟まれ、二進も三進もいかない状態を続けている。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!