13人が本棚に入れています
本棚に追加
寒い……
ただ寒くて、目が覚めた
今日は四月一日
春だと言うのに、まだ冬のように寒い
炬燵(こたつ)やストーブ等の暖房が今は必需品だ
少年は布団から出ると、自分の肩を摩るように抱く
それ程までに寒いのだろう
摩りながら、部屋を出て居間に向かった
少年の名は狭桐 深哉(ハザキリシンヤ)
狭く深いという、よく分からない名前を持っている
両親とはとある事情で、別居している
そして、今日は受験で合格した高校の入学式だ
深哉の通う高校は、ごく普通の学校
大きくなく、小さくもない
広くなく、狭くもない
生徒の人数も、多くなく、少なくもない
頭の良い学校とは言えないが、莫迦な学校でもない
普通の学校なのだ
高校の名は理珱高校(リエイコウコウ)
深哉がこの高校にしたのは、ただ近いと言うだけ
家の二階の窓から覗けば、学校は見える
「寒いな……」
誰かに言う訳でもなく、深哉は呟いた
そして、チラッと時計を見て時間を確認する
11:28……
まだ入学式には余裕がある
理珱高校の入学式は、午後の12時30分から始まる
入学式の内容は、高校に着いたら自分のクラスを確認し、体育館に行く
体育館では校長等の先生のとても長い話しを聞き、終わったら自分の名前が書いてあったクラスに向かう
クラスに着いたら、学校と担任の自己紹介
そして、教科書等が配布する
ここからは予想だが、恐らく皆自分の自己紹介をする事になるだろう
深哉はあまり自己紹介等が得意ではない
人見知りというか、口数が少ないというか……
だが中学時代では結構友達が居た
その友達の中の何人かも、同じ理珱高校と言っていた
そのため、皆知らない人という訳ではない
深哉は冷蔵庫の中を確認し、昼食の準備を始めた
最初のコメントを投稿しよう!