一話

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「んーっ…」 朝早くに、玄関先で軽く伸びをする。 見つめる先の空は今日も晴天、なわけがなくて。 いつもと同じように、灰色に淀んだ空だった。 あぁ、最後に青く澄んだ空を見たのはいつだっただろうかと、ふと考えて、掻き消すように頭を振った。 やめたやめた。一日の始まりにこんなことを考えていたら、一日中私も暗くなってしまう。 戦争が始まった時、私は決めたんだ。こんな戦争に、絶対呑まれない。呑まれてたまるか、と。 「…今日も一日、がんばろう」 自分に言い聞かせるように呟いて、いつもと同じように郵便ポストを開く。 と。 新聞と、見慣れない封筒が一つ入っていた。  
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